2 法律を勉強すると儲かる (『法律学楽想』p28〜31)

役所に勤めるためには必ず法律の試験がある。行政は法律に従って行われるのだから、当然のことであって日常必要である。学校の先生になるには学校教育法がいるし、美容院や理容院にも環境衛生法がいる。飲食店や食品店を経営するには、食品衛生法をはじめとする法律がある。建築士には建築基準法が、不動産業者は宅建業法なくして仕事はできない。どんな仕事についても法律はついてまわる。その大要を知らずには手も足も出ない。会社に入るならば取引社会に入ることだ。民法・商法の原則と運用の実際を知ることが儲けにつながらないわけはあるまい。
現在、世を挙げて規制緩和の掛け声が大きい。規制緩和と言うのは、役所の許認可事項を減らして自由な取引で皆さんに大いに儲けてくれということだ。規制がないということは自由にやることだが、その自由の選択の幅が広がった分どんな取引にどんな法的な利益や責任がついてまわるのか—そういうことは「自分で考えてやりなさい、役所は知りませんよ」ということだ。「手取り足取り教えませんよ、自己責任ですよ」ということだから法律の勉強がますます必要になりその勉強が儲けにつながっていくはずである。
何の仕事につくにしても、法の一般原則を勉強していくことはなにかにつけて役に立つはずだ。
法学部の卒業者と他の文系学部の卒業者の平均収入を比較したものがあれば、必ず法学部出身者の収入が文系他学部よりは上回っている筈であるといっておく。