八木 國之先生

 佐藤司先輩より,先生がお亡くなりになったと伺いました。

 御茶ノ水駅手前の喫茶室で,当時流行の法解釈学方法論のご指導を受けたことが忘れられません。確か,先生と二人で4,5時間議論したと思います。「大学教授をこんなに独り占めできる大学院というところは,なんと良い所だろう」と大変幸せでありました。

 当時流行の法社会学的解釈論を聞きかじりで,「名誉毀損で何件,誰の名誉を守る為に,誰が処罰され,それによってどのような社会的利益があったか,の検証なくして,法解釈学たり得るだろうか,」と食い下がり,先生が古典的ドグマティークの体系を理解させようと説得されるのですが,頭の固い私は納得せず,延々4,5時間に及びました。

 私には贅沢な思い出ですが,先生も,印象に残していただいたらしく,OB会などでお会いすると,皆さんに「内野君は粘るからなあ」と言って披露しておられました。 

 もう先生と思い出話をする機会も,学問の議論をすることも叶いません。

 寂しくなります。
 先生,御指導ありがとうございました。
 さようなら。

                             平成20年4月9日

                            弁護士 内野 経一郎