まえがき
今年(二〇一〇年・平成二二年)の五月八日に、学校法人海陽学園・海陽中等教育学校の「キャリア講座」の講師に招かれました。
海陽学園はイギリスのパブリックスクールの名門イートン校をモデルに、同校から教師を迎え、二〇〇六年四月に開校しました。イートン校(イートン・カレッジ)は今から五七〇年ほど昔の一四四〇年にヘンリー六世によって創設され、男子全寮制をとり、これまでに一八人の首相を出しているイギリス一の名門校です。海陽学園もイートン校と同じく中高一貫教育の男子校で全寮制を取り入れ、ハウス(寮)での生活を通じて、「自由と規律、独立心と協調性」の養成をめざし、内外から第一期生の大学進学の実績が注目されています。
講演要請の連絡の中には、
「海陽学園では生徒の進路指導やキャリア教育にも力を入れており、生徒たちのキャリア選択の参考になるようにと、これまでに医師、会社役員、考古学者、海外の大学に留学した学生など、多岐にわたる専門家を講師に迎えて キャリア講座? を開催しています」
とありました。
弁護士になって六ヵ月の私に与えられた講演テーマは、
「弁護士になるまで、弁護士になってから」
です。
この「キャリア講座」は同学園のハウス(寮)のパブリックラウンジ(一般家庭のリビング)でアットホームな雰囲気で少人数で実施されました。各回の講師や講演テーマに応じ、その専門分野に興味を持つ生徒たちが集まります。講演に先だち前もって生徒から質問が寄せられていました。私は生徒たちの質問を読み、
@弁護士になるまでの実体験
A弁護士の仕事内容
B弁護士に求められる資質
などを語ることにしました。
海陽学園の建学精神は、
「将来の日本を牽引する、明るく希望に満ちた人材の育成」
です。私の講演会に参集してくれた若きエリートたちは、瞳を輝かせながら熱心に耳を傾けていました。「弁護士になるまで、弁護士になってから」と題する講演は、生徒たちへの「弁護士キャリア」の紹介であるとともに、私にとっては、弁護士になるまでの軌跡を総括し、新たに歩み始めた弁護士生活の決意を再確認する絶好の機会でもありました。
以下は海陽学園での講演録をもとに、加筆訂正してまとめたものです。
  平成二二年七月

弁護士になるまで 弁護士になってから